WEBVTT 00:00:04.460 --> 00:00:10.640 (音楽) 00:00:10.800 --> 00:00:15.320 (シェリル)ワシントン大学の シェリル・バーグストーラーです 00:00:15.330 --> 00:00:17.680 私たちのキャンパスでは 他の大学と同じように 00:00:17.680 --> 00:00:20.810 学生に配布する書類を 山のように作成しています 00:00:20.810 --> 00:00:22.510 パワーポイント プレゼンテーション 00:00:22.510 --> 00:00:25.960 ジャーナル論文、 本のチャプターなどあらゆるものです 00:00:26.740 --> 00:00:29.280 (クリスタ・グリーア) 概算してみましょうか 00:00:29.280 --> 00:00:34.050 当大学では秋に 13,000コースを開講しました 00:00:34.050 --> 00:00:38.620 ひとつのクラスでおよそ 600ページの書類を作ったとすると 00:00:38.620 --> 00:00:42.640 合計780万ページになりますね 00:00:43.210 --> 00:00:46.210 (メリンダ・マクレー)これが ひとつの講座のコースパッケージになります 00:00:46.210 --> 00:00:49.170 一学期で必須の読み物が 00:00:49.170 --> 00:00:50.530 これだけあります 00:00:51.270 --> 00:00:54.469 (シェリル)学生にとっては 膨大な量の読み物になります 00:00:54.469 --> 00:00:57.180 障害のある学生には なおさら負担が大きくなります 00:00:57.180 --> 00:01:00.739 (コピー機の作動音) 00:01:00.739 --> 00:01:03.030 (テリル・トンプソン) 誰もが書類を作成しますが 00:01:03.030 --> 00:01:06.640 その書類が "同じ" ではないと 気づく人は少ないです 00:01:06.640 --> 00:01:09.580 つまりアクセシブルで あるかないかで違いが出てくるのです 00:01:10.160 --> 00:01:13.930 (シェリル)視覚障害のある学生は スクリーン・リーダーや音声合成を使って 00:01:13.930 --> 00:01:18.340 画面上に表示されるものを読み上げることで 内容を理解しています 00:01:18.340 --> 00:01:21.570 読字障害やその他の 読むことに関係のある障害のある学生も 00:01:21.570 --> 00:01:24.009 スクリーン・リーダーを使います 00:01:24.009 --> 00:01:26.340 彼らは画面上の内容を 見ることは出来ますが 00:01:26.340 --> 00:01:30.410 音声出力を使うことで 内容を理解出来るようになるのです 00:01:30.410 --> 00:01:34.130 しかし支援技術は 他の学生たちにもメリットがあるのです 00:01:34.410 --> 00:01:38.490 (クリスタ)関節炎があって 本を物理的に持てないとか 00:01:38.490 --> 00:01:42.090 重い本を背負って 運ぶことが出来ないなど 00:01:42.090 --> 00:01:45.460 そういった学生は 電子版のみを求めているのです 00:01:45.460 --> 00:01:48.079 ロービジョンの学生は 電子版を使うことによって 00:01:48.079 --> 00:01:50.820 文字を拡大する 必要があるかもしれないのです 00:01:51.050 --> 00:01:53.259 (メリンダ)クラスに 100人の学生がいるとします 00:01:53.259 --> 00:01:57.380 そのうち90人には 講座の配布物を手渡し 00:01:57.380 --> 00:01:59.750 そして残りの10人には 00:01:59.750 --> 00:02:03.310 "あら残念、読めないのね" 00:02:03.310 --> 00:02:07.099 講義の教材が アクセシブルでない授業というのは 00:02:07.100 --> 00:02:10.560 そう言い捨ててるような ものなのです 00:02:10.660 --> 00:02:16.780 (音楽) 00:02:16.840 --> 00:02:21.260 (シェリル)最もアクセシブルでないのは スキャンやコピーされた書類です 00:02:21.260 --> 00:02:25.329 基本的には画像扱いになるので スクリーン・リーダーが文字情報にアクセスできないのです 00:02:25.329 --> 00:02:29.270 (メリンダ)これが 本当にひどいコピーの例です 00:02:29.270 --> 00:02:36.570 下線が引いてあり 記号が書いてありますね 00:02:38.210 --> 00:02:40.330 (シェリル)我々の 障害学生支援室では 00:02:40.330 --> 00:02:42.579 障害のある学生のために 配慮を提供しています 00:02:42.579 --> 00:02:46.090 しかし他の学部やカレッジなど 例えば当大学の社会福祉学部では 00:02:46.090 --> 00:02:47.989 率先して行動を起こし 00:02:47.989 --> 00:02:51.649 アクセシブルな書類を 学生に提供しています 00:02:52.159 --> 00:02:55.069 (メリンダ) 厳密に言えばこれは 00:02:55.069 --> 00:02:58.280 画像をテキストに 変換しています 00:02:59.530 --> 00:03:04.600 (シェリル)光学文字認識 (OCR) が 搭載されたスキャナーであれば 00:03:04.609 --> 00:03:09.069 普通の書類を読み上げソフトで アクセス出来るようにしてくれます 00:03:09.069 --> 00:03:11.320 これは他の学生にも 役に立ちます 00:03:11.320 --> 00:03:14.310 例えばモバイル端末で 内容にアクセスしようとしたり 00:03:14.310 --> 00:03:16.131 自分が興味を持てそうなものを 見つけるために 00:03:16.131 --> 00:03:18.059 ざっと内容をチェックしたりです 00:03:18.229 --> 00:03:21.300 (メリンダ) この作業のいい点は 00:03:21.300 --> 00:03:23.489 古い画像ファイルを 00:03:23.489 --> 00:03:27.700 テキストに起こすことで 00:03:27.700 --> 00:03:29.900 全く解読不能なファイルも 00:03:29.900 --> 00:03:33.569 全ての生徒がアクセス出来るような 00:03:33.569 --> 00:03:36.069 ファイルに変換出来ることです 00:03:37.119 --> 00:03:38.739 (シェルビー) 私の名前はシェルビー・キース 00:03:38.739 --> 00:03:41.910 ワシントン大学の 4年生です 00:03:41.910 --> 00:03:46.240 7歳の時に読字障害と 書字障害の診断がついていて 00:03:46.240 --> 00:03:50.819 色々苦労もあったのですが 今は乗り越えられるようになりました 00:03:50.819 --> 00:03:55.500 (シェリル)シェルビーは 読み上げソフトで講義の資料にアクセスします 00:03:55.500 --> 00:03:57.349 トルコ語の授業もです 00:03:57.349 --> 00:04:02.420 (トルコ語を読む 読み上げソフト) 00:04:02.540 --> 00:04:03.799 (シェルビー) 自分で読むとなると 00:04:03.799 --> 00:04:05.120 とても時間が掛かります 00:04:05.120 --> 00:04:07.109 途中で分からなくなるんです 00:04:07.109 --> 00:04:10.790 集中することが難しいので 00:04:10.790 --> 00:04:13.609 これはとても役に立つし タスクをこなすことが出来るようになります 00:04:13.609 --> 00:04:17.000 (クリスタ)シェルビーは 一学期で平均約10冊の本を 00:04:17.000 --> 00:04:20.470 読まなければならない 00:04:20.470 --> 00:04:22.400 講義を受講しています 00:04:22.400 --> 00:04:25.280 これは彼女にとっては 膨大な量です 00:04:25.280 --> 00:04:28.949 そこでシェルビーは オーディオ機器を使って 00:04:28.949 --> 00:04:31.949 パソコンから ファイルを引き出し 00:04:31.949 --> 00:04:35.680 ファイルの一部分あるいは 全体を読み上げるよう 00:04:35.680 --> 00:04:38.699 パソコンに指示し パソコンはその通りに読み上げます 00:04:38.699 --> 00:04:43.919 そういった意味で シェルビーにとって 00:04:43.919 --> 00:04:47.400 内容にアクセスしたり 必読のものを読んだりするのに 00:04:47.400 --> 00:04:49.120 役に立っているのです 00:04:49.120 --> 00:04:53.601 (シェルビー)ある学期では 講義で必要なすべての資料が 00:04:53.601 --> 00:04:55.460 アクセシブルで なかったことがありました 00:04:55.460 --> 00:04:58.190 そこで私は OCRを使おうとしたのですが 00:04:58.190 --> 00:04:59.800 ファイルにロックが掛かっていたので 00:04:59.800 --> 00:05:02.930 OCRできちんと 読み取ることが出来ませんでした 00:05:02.930 --> 00:05:05.220 そうなったら オンラインで解決策を探すか 00:05:05.220 --> 00:05:08.300 段落全体を抜けがなく 読めるようなフォーマットにするため 00:05:08.300 --> 00:05:11.251 サポートスタッフに話して ファイルのロック解除の方法を 00:05:11.251 --> 00:05:15.280 教えてもらったり しなければなりません 00:05:16.080 --> 00:05:18.340 (グリニス・ウィーバー) 前職で私は 00:05:18.340 --> 00:05:20.170 公衆衛生についての 修士号を 00:05:20.170 --> 00:05:21.920 取るための勉強をしていた時に 00:05:21.920 --> 00:05:24.380 ADHDの診断を受けました 00:05:25.000 --> 00:05:28.639 (シェリル)医師助手の 資格を取った後も 00:05:28.639 --> 00:05:33.250 グリニスは アクセシブルな書類を利用しています 00:05:33.250 --> 00:05:34.990 先ほど登場した クリスタ・グリーアが 00:05:34.990 --> 00:05:37.270 グリニスが支援技術を 見つける手伝いをしました 00:05:37.270 --> 00:05:42.759 (クリスタ)Kindleのような e-ブックはどう? 00:05:42.760 --> 00:05:45.720 何か 特に役に立つかしら? 00:05:45.860 --> 00:05:47.960 (グリニス) 役に立つわ 00:05:48.000 --> 00:05:50.380 意味や内容が曖昧な言葉を 00:05:50.389 --> 00:05:54.000 ハイライト出来ること 00:05:54.000 --> 00:05:56.750 そしてその場で情報を 付け加えられる所ね 00:05:56.750 --> 00:06:02.180 言葉の定義を求めて あてもなく探し回る必要がなくなるから 00:06:02.470 --> 00:06:05.229 (シェリル)アクセシブルでない 文書を投稿することで 00:06:05.229 --> 00:06:07.700 視覚障がいの生徒は 本当に大変な思いをするのです 00:06:08.180 --> 00:06:11.910 (音楽) 00:06:12.180 --> 00:06:15.919 (シンシア)授業に必要な 論文を読まなきゃいけない時に 00:06:15.919 --> 00:06:20.460 幾つか方法を試して それでもPDFをアクセシブルに出来ないと 00:06:20.460 --> 00:06:25.020 本当にストレスが溜まります 00:06:25.020 --> 00:06:26.500 (シェリル) 視覚障害者のために 00:06:26.500 --> 00:06:29.810 文書をアクセシブルにするには 幾つかの手間をかける必要があります 00:06:29.810 --> 00:06:32.640 例えば画像の代わりの 代替テキストが必要になります 00:06:32.640 --> 00:06:35.110 それからヘッダー構造を 整えしなければなりません 00:06:35.110 --> 00:06:41.320 パワーポイントのプレゼン資料や ワードの文書にこうした作業が必要となるでしょう 00:06:41.630 --> 00:06:47.690 (音楽) 00:06:47.930 --> 00:06:50.460 視覚障害者や 読み上げソフトが必要な人のために 00:06:50.460 --> 00:06:53.129 書類をアクセシブルにするには 00:06:53.129 --> 00:06:55.910 ヘッダー構造が 必要になります 00:06:55.910 --> 00:06:58.740 例えばマイクロソフト・ワードの場合 00:06:58.740 --> 00:07:00.950 見出しスタイルを 設定する必要があります 00:07:01.100 --> 00:07:05.020 (テリル)スクリーン・リーダーの 利用者にとってヘッダー(見出し)設定は 00:07:05.020 --> 00:07:07.819 幾つかの大事な機能を 備えています 00:07:07.819 --> 00:07:12.580 ひとつはヘッダーがあることで 書類全体をナビゲート出来ること 00:07:12.580 --> 00:07:15.080 ヘッダーからヘッダーへ また別のヘッダーへと移動し 00:07:15.080 --> 00:07:19.569 支援技術が 今ヘッダーのどのレベルにいるか 00:07:19.569 --> 00:07:22.889 教えてくれます それによって今 00:07:22.889 --> 00:07:26.809 ヘッダーのレベル2 つまりヘッダーのレベル1の下層だと 00:07:26.809 --> 00:07:29.740 理解することが出来ます 00:07:29.740 --> 00:07:33.830 それによって頭の中で 書類の構造の概要を 00:07:33.830 --> 00:07:36.389 掴むことが出来るのです 00:07:37.039 --> 00:07:40.220 ほとんどのスクリーン・リーダーでは "H" キーを押すことで 00:07:40.220 --> 00:07:41.780 最初のヘッダーに移動出来ます 00:07:41.780 --> 00:07:45.199 (読み上げソフト)物理入門 コースシラバス 見出しレベル1 00:07:45.199 --> 00:07:46.789 (テリル)もう一度 "H" キーを押すと 00:07:46.789 --> 00:07:48.889 (読み上げソフト) テキストブック 見出しレベル2 00:07:48.889 --> 00:07:49.889 (テリル)もう一度 00:07:49.889 --> 00:07:53.419 (読み上げソフト) コース目標 見出しレベル2 00:07:53.419 --> 00:07:55.389 授業スケジュール 見出しレベル2 00:07:55.389 --> 00:07:57.169 成績 見出し レベル2 00:07:57.169 --> 00:07:59.569 (ハディ・ランギン) 私の名前はハディ・ランギン 00:07:59.569 --> 00:08:02.349 ワシントン大学の 情報テクノロジー 00:08:02.349 --> 00:08:04.629 アクセシビリティ専門家です 00:08:05.179 --> 00:08:09.599 (シェリル)ハディは専門家ですが アクセシブル テクノロジーの利用者でもあります 00:08:09.599 --> 00:08:14.449 (ハディ)何秒間か 書類にざっと目を通して 00:08:14.449 --> 00:08:18.000 おおまかな内容だけを 知りたいとします 00:08:18.000 --> 00:08:19.520 どのように作られているか? 00:08:19.520 --> 00:08:24.900 今読んでいる記事の 主要な構成は何か? 00:08:24.900 --> 00:08:32.120 これを知ることで学びたいことに 必要なセクションに集中出来るのです 00:08:32.120 --> 00:08:38.970 これなしでは全ての重要性が同じなので 頭から終わりまで読まなければなりません 00:08:39.780 --> 00:08:46.350 (シェリル)視覚に問題ない人は 太字の見出しなどを見て書類内を移動します 00:08:46.350 --> 00:08:51.460 しかし読み上げソフト利用者には ヘッダー構造が設定されていないと 00:08:51.460 --> 00:08:56.030 ただの文字の羅列としか 理解出来ません 00:08:56.030 --> 00:08:58.040 特徴がないからです 00:08:58.700 --> 00:09:04.080 (音楽) 00:09:04.480 --> 00:09:08.780 (シェリル)図式や写真も 様々な方法でアクセシブルに出来ます 00:09:08.780 --> 00:09:12.280 (シンシア)代替テキストは 00:09:12.280 --> 00:09:15.990 画像が見えない利用者に それが何なのか正確に説明してくれます 00:09:15.990 --> 00:09:17.670 (シェリル) どのオーサリング ツールでも 00:09:17.670 --> 00:09:21.590 代替テキスト表示の オプションがあります 00:09:21.590 --> 00:09:25.560 もしそれがないと 視覚障害者や読み上げソフト利用者は 00:09:25.560 --> 00:09:29.030 その画像の内容に アクセスすることが出来ません 00:09:30.230 --> 00:09:31.270 (テリル) こんな感じに聞こえます 00:09:31.270 --> 00:09:33.650 (読み上げソフト) 画像 00:09:33.650 --> 00:09:38.780 (テリル)画像として認識しますが 代替テキストとしては 00:09:38.780 --> 00:09:42.780 "写真" としか説明しないので この画像の大事な部分が伝わりません 00:09:42.780 --> 00:09:46.620 視覚に問題のないユーザーは 読み上げソフトより多くの情報を得られます 00:09:47.410 --> 00:09:50.220 (シェリル)マイクロソフト ワードで これをやるには 00:09:50.220 --> 00:09:56.210 画像を右クリックし 画像フォーマットを選択 00:09:56.210 --> 00:10:01.340 それから代替テキストの下に 視覚障害者に必要な 00:10:01.340 --> 00:10:03.300 画像の情報を入力します 00:10:03.300 --> 00:10:05.830 (テリル)画像に行くために 矢印キーを押します 00:10:05.830 --> 00:10:10.750 (スクリーン・リーダー)画像: マッカーティ氷河 二枚の写真の比較 00:10:10.750 --> 00:10:13.920 1909年 広大な氷河が 地平線まで広がっている 00:10:14.590 --> 00:10:19.330 (シェリル)文書をアクセシブルにすることは 見た目にも完全性にも影響しません 00:10:19.330 --> 00:10:21.150 (テリル) 文書を作成する者は誰でも 00:10:21.150 --> 00:10:25.700 前もって手間を掛けてでも アクセシブルにするべきです 00:10:26.030 --> 00:10:28.090 (メリンダ) 支援を希望する学生の割合は 00:10:28.090 --> 00:10:32.050 実際に何らかの障害がある 学生の数に比べると 00:10:32.050 --> 00:10:36.660 とても低いのです 00:10:36.660 --> 00:10:41.200 だから例えば 一人の学生から希望が出たとしたら 00:10:41.200 --> 00:10:43.160 実際には恐らく同じクラス内で 00:10:43.160 --> 00:10:45.940 他にも二人くらいは 支援が必要な学生が 00:10:45.940 --> 00:10:49.380 いると思って ほぼ間違いないですね 00:10:49.590 --> 00:10:51.770 (シェリル)文書作成時に アクセシブルにしてしまう方が 00:10:51.770 --> 00:10:56.960 後から変更するより ずっと簡単です 00:10:56.960 --> 00:10:59.980 もし作成者が最初から アクセシビリティを準備できたら 00:10:59.980 --> 00:11:03.140 個別の配慮が必要な障害のある 学生の数もずっと少なくなるでしょう